10月25日 三遊亭歌奴 真打昇進襲名披露興行

「さて、そういう訳で」
「どういう訳です」
「まあ、色々あった訳で……」
「またいい加減な台詞を」
「この日、池袋演芸場へ」
「行きましたか」
「仕事が終わってからなので、かなりの遅刻」
「これはしょうがありませんね」
「もう3分の1は終わっているんだから、半額にするように交渉を……」
「したんですか」
「普通するじゃろう」
「しませんよ」
「素人はしょうがない」
「玄人だってしません」
池袋演芸場「さて、今日は三遊亭歌奴真打昇進襲名披露興行。席亭や出演者に挨拶などしているうちに、更に時間が進み、入場したのは翁家和楽社中から」
「これは曲芸ですね」
「3人でやっている。上前はもちろんじゃが、なかなか面白いな」
「はい。鈴々舎馬風
スポーツ談義。お馴染みの話じゃが、間の取り方やテンポの良さで聞かせるな」
「次は……あれ、もう仲入りですよ」
「そう、だから負けさせるのは当然じゃろう」
「普通負けませんよ」
「後半は真打昇進披露口上から」
「司会は歌司、会長の馬風、相談役の圓蔵、それに師匠の圓歌が挨拶を述べた」
「噺家の口上って面白いんですよね」
「関係のない方の話が長かったり……でも、真面目で実力もあるから、本人の悪口がほとんど出ないのがさすがじゃ」
「はい、ひびきわたる
キセル漫談、お馴染み」
三遊亭歌司
「『親子酒』を演じた。目新しさはないが、安心して見ていられる芸じゃな」
橘家圓蔵
「『火焔太鼓』、志ん生の型でほとんど外れることもなく進んだ。圓蔵としては物足りないかも知れないが、志ん生の半分の時間でまとめる力量も確か。上々の出来じゃ。返って実力は持っていることを示したともいえるな」
三遊亭圓歌
「こちらは今の『火焔太鼓』を受けて、昔の噺家の話。馬風が演じていた『会長への道』の逆パターンじゃ」
ホームラン
漫才じゃが、ちょっと早口過ぎて分からない部分もある。勢いで行ってしまうのはどうじゃろう。面白いのじゃがなあ」
「そして、いよいよトリの三遊亭歌奴
「出し物は予想通り、『子別れ』。さすがにトリなので時間もあり、別れる場面なども少し入れて充実していた。これだけ泣かせる噺が出来るのは貴重じゃ。きっと本物になる」
「もし大物にならなかったら、大家さんは落語について語るのをやめると言い切った人です。お楽しみに」

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