10月12日 夢丸独演会

「さて、まだまだ時間に余裕がある。予定では外苑前駅から青山一丁目で乗り換え、半蔵門へ行く予定だったのじゃが」
「予定変更ですか」
「実はユニマット美術館は外苑前から2分、青山一丁目から5分とされている。青山一丁目まで歩けば、乗り換えが要らない」
「はい」
「それが、そこまで行って考えたのは、地下鉄は駅の間が短い」
「そうですね」
「永田町(赤坂見附)駅まで、青山通りをまっつぐ。全部合わせても3キロくらいじゃから」
「随分ありますよ」
「残り2キロ余りなので、30分で十分ということで……」
「歩きましたか」
「それで、予定通り5時頃に到着。まず夕食に、近くにあるホテルでディナー
「大家さんにしては贅沢ですね」
「ネットで割引券が出るから……」
「そういう訳ね」
「こうして、無事国立演芸場へ到着、三笑亭夢丸独演会じゃ」
「はい、まずは朝夢
「『時そば』、誰でも知っているネタじゃが、朝夢調というか、動きの面白さがあって良かったな。後の店も『あたり屋』というのは意外だった」
「はい、続いて月夢
「『あくび指南』、噺の持っているけだるさが、月夢によく合っている。いい感じで眠気を誘われた」
「ほめているのかね……夢吉
「『眼鏡屋盗人』、珍しいネタじゃな。3人の泥棒の個性が良かったぞ」
「さあ、待ってました。夢丸師匠です」
「まずは『長命』、間抜けな男が早死にの理由に気付くまでにあれこれあるのじゃが、これをすっきりまとめた……そういえば、ここまで、マクラがかなり簡単で、時間を掛けずに進んだな」
「早く進んでいるんですか」
「かなり……まあ、普通にマクラをやって行くと、わしが終バスに間に合わなくなるから、気を遣ってくれているのじゃろうな」
「ないない……仲入り後は江戸家まねき猫
「実は帰りの地下鉄が一緒だった……今日は『枕草子』、お馴染みのネタじゃな。『河童』とこれはなかなか芸術的な作品じゃ」
「そして最後はいよいよ夢丸新江戸噺の入選作」
「わしの作品……がいつか出ることを期して……」
「はいはい……今日は」
味田恵里香作『紅い手』、怪談噺じゃ。まあ内容は見え見えといえるが、怪談に至るまでの経過や幽霊の出方、落ちまで、展開がよく出来ていた」
「上々の作品ですか」
「そういうこと……もちろん、今言ったように先が読める内容なのじゃから、演じ手が駄目だったら引きつけられないじゃろう。さすがは師匠、ダレるところもなく、緊張感を盛り上げていった。お見事」
「はい、そういうことで、充実した1日を締め括ります」

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