10月5日 上野広小路亭

「さて、忙しい合間を縫って、久し振りの寄席」
「って、昨日も行っているじゃありませんか」
上野広小路亭が久し振りなのじゃ」
「先月行ってるよ」
「まあいい、読む人は気にしておらん」
「しょうがないね。では寄席に参りましょう。前座は」
「それが、午前中に用足しがあり、しかも電車に遅延が出て、大幅に遅刻。美由紀ちゃんとお話をして、その直後の2人も聞きそこなった」
「しょうがないね。じゃあ、春風亭柳太郎からですか」
「『目黒の秋刀魚』。殿様が現代的なダッダッ子でおかしかった。品を失わないから受け入れられるのじゃなあ」
「はい。三遊亭遊之介
「『湯屋番』、飄々とした味が何とも言えない。落ちは『裸で帰す』というもの」
コントD51
「昨日のネタ……かなり進んで、お馴染みの芝居に入ったが、そこで時間切れ」
「また最後まで行かなかったんですか」
「日々変化するのじゃな。いつになったらオチがつくのじゃろう」
「知りません。仲トリは雷門助六
「『長短』じゃが、先代と同じ、上方の長さんと江戸の短さんのやりとりが何ともおかしい。オチまでは行かなかった」
「くいつきは神田紅
「代演できらり。この子も縁があるのか、良く出逢うな。落語の『佐野山』でお馴染みの『谷風人情相撲』。贔屓の方とのやりとりは落語の方が説得力がある。それに、贔屓の方とはしっかりとした関取口調で話しているのに、土俵に上がった途端にへろへろと力が無くなるのは……まあ、面白いのじゃが」
「はい。江戸家まねき猫
「これも代演で昨日もいた新山真理。昨日と同じネタにしようと思ったら、わしの顔を見つけ、刑務所慰問の話に話題変更」
三遊亭円雀
「これも代演で三遊亭昇之進。古典か新作かリクエストをとったら、さっさと引っ込めが1位に」
「あらら」
「それで新作の『探し犬』を演じた。彼の現代人はだらしない雰囲気であまり好きではないが、今回は犬が主役をつとめたためか、悪くはなかったな」
「続いては三遊亭遊三
「何と、前座噺の『子ほめ』をしっかり……このところ、大真打が前座ものを高座に掛けるのは、何か意図があるのじゃろうか。もちろん、お手本になるような一席。こんなに面白いのかと、ネタの再認識にもなるな」
「はい。松乃家扇鶴……あれ、最初の方で美由紀ちゃんが出ているということは……」
「そう、代演で松旭斎小天華。お馴染みのマジック」
「トリは三遊亭左遊
「この人は滑舌が悪いな。それで早口じゃから聞き辛い。『三井の大黒』じゃった。まあ、昨日は『竹の水仙』を演じたそうで、続き物的な台詞もちゃんとあった。そんなわけで、今日はバタバタとした一席でした」

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