7月26日 内田奈織ちゃん ライブ

「かくて、ヨーロッパ出発」
「行ってらっしゃい」
「最後の思い出は……」
「はいはい、今生(こんじょう)最後の……」
「そうそう、この世で最後の思い出……違う、ヨーロッパ出発前の、日本での最後じゃ」
「すぐ乗りますね……何の思い出ですか」
「最後のコンサートは内田奈織ちゃんのライブ」
「はい」
「第一部はクラシック。まあ、導入にいつもの『星に願いを』から始まって、古典的ハープの曲『五月』『演奏会用練習曲』、そして黛の『ROKUDAN』」
「これは昨年3月に京都で演奏していた曲ですね」
「そう。あの時よりも慣れた感じじゃな。音を狂わせたり、こすったり、叩いたりという前衛的な作品じゃ」
「すごい曲を演奏するんですね」
「わしはこのクラシックからファンになった」
「はい」
「それから、これもお馴染みの福井健太さんが加わった。福井さんの無伴奏曲もあり、色々」
「バラエティに富んでいますね」
「第1部の最後はバッハの『フルートソナタ』」
「へえ」
「休憩をはさんで第2部は、ポップな作品を……『千の風になって』『世界に一つだけの花』『銀座の恋の物語』『ひとつの願い』等々……最後は福井さんのテクニックを見せるモンティの『チャルダシュ』」
「第2部はジャンルも様々」
「最後の曲は、奈織ちゃんが譜面を楽屋に忘れて……せっかく最後の曲まで盛り上げておいて、自分でこけていた」
「はは」
「まあ、とにかく全てが奈織ワールドじゃな……いつも言っているように、第1部で分かるようにテクニックがしっかりしているから、素晴らしい演奏になる」
「満足の演奏会ですね」
「アンコールに『上を向いて歩こう』……これは一昨年京都で演奏したフルートとの共演と同じアレンジ」
「まあ、お馴染みの曲ですね」
「後は、お馴染み愛を確認するツーショット」
「はいはい」
「そういう訳で思い残すことなく、旅立ちます」
「あの世へ」
「そう……じゃない! ヨーロッパへじゃ」
「はい……またお逢い出来るのを楽しみに」

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