7月12日 柳家ろべえ勉強会

「さて、昨日は講演を無事に終えて、市川で行われるろべえ君の勉強会へ」
「東海道ひとり旅と銘打った、毎月恒例の会ですね」
「まずはろべえ君の一席目、『豆屋』。前回の夏丸仙花との勉強会と同じネタ。子供の頃は、豆屋が可哀想で嫌いな噺じゃった」
「今は」
「ううん……まだよく分からない。前半のいかにも嫌な奴、それから後半になると、もっと怖そうなのに……そこに構成の妙は認めるのじゃが、いかにそれを演出するか……とにかく難しいなあ」
「難しいですねえ」
「今日のゲストは天どん君。何と『五人廻し』じゃ。4人まではおなじみの手順じゃが、演じる人ならではの台詞や展開を用意している。それぞれが違っていて面白いのじゃ」
「上出来ってことですか」
「良かった。一応説明しておくと、相撲取りが『まわしを取られてふられております』という落ちじゃった」
「色々あるんですか」
「そう。喜瀬川という花魁が最後に登場して落ちになるのが、本来のやり方じゃ。圓生が、人数に合わないというので、御本尊が出てこないのも面白かろうというので、葛西の田舎者で落ちにしていた」
「それも一つのやり方ですか」
「人数が多くなるので、『七人廻し』にした演者もいたというな」
「本当に色々あるんですね」
「仲入り後は、ろべえ君の二席目で『船徳』。徳の気持ちの変化や客の心まで、色々描写するので難しい」
「出来はいかがでした」
「良かったぞ。動きが多いので見ていておかしい。いい演者になると、動きも無駄がなくなるな。着物の裾が乱れるのは何とかしないとな」
「はい」
「それからアンコールに『道灌』をちょいと変わった演出でやって、後は飲み会」
「例によって」
「いやあ、飲んだ飲んだ……」
「こっちが目当てだったりして」
「ううん……まあ否定できないのが情けない」
「まあ、とにかく大変ですね」
ろべえ君はこの後、新宿の深夜寄席があった。ハシゴされる人もいたが、わしは明日全日本選手権があるので」
「そういうことで、とにかく大忙しの一日でございました」

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