ろべえ・夏丸・仙花勉強会

「さて、三人の勉強会も33回」
「はい」
「まずは、柳家ろべえ君。出し物は『粗忽の釘』」
「あれ……一人でやっている勉強会と同じですね」
「そう。どちらも勉強会じゃから」
「いかがでした……前と同じなんて一言で終わらないでしょうね」
「そうじゃな。二度目でテンポがよくなるのは先月の『やかんなめ』と同じじゃ。若さというのは、一席ごとに成長する姿が見えることじゃな」
「まだ改善の余地がある」
「そりゃ、若いのじゃから……しかし、昔と比べて、その見えてくる成長が少なくなっている。それだけ全体として成長しているということじゃ」
「続いて鏡味仙花ちゃん」
「前回から12日しかたっていないという勉強会。バチのさばきで4本に挑戦。何度かの挑戦で、見事成功した」
「おめでとう」
「来月は5本じゃな」
「そりゃ無理というより無茶でしょう」
「そういう訳で、トリは……」
桂夏丸君ですね」
「『おすわどん』を演じた。大師匠、歌丸に習った作品じゃな」
「分かりますか」
「ちょっとした言葉の調子がそのままじゃ。もっとも、歌丸師匠の『おすわどん』は大昔、笑点で縮小版を聞いただけじゃが」
「どうでしたか」
「この噺はもともと、おすわが前妻をいじめて殺し、そのうらみで幽霊が出るのではないかって……」
「陰惨な話ですね」
「それを、歌丸師匠が全部変えてしまったのじゃ。おすわも性格のいい女ということにして……もっとも本人は登場せず、周りの話ばかりなのじゃが」
「ややこしい説明」
「ほとんど地噺で進んで、最後だけ本格会話になる。教わった歌丸師匠の口調が残るのは仕方があるまい。人物を描写するのが楽だから、やりやすい噺じゃろう」
「あまりほめていないですね」
「いや、良かったぞ。これで自分なりの口調になっていくのじゃから……」
「それで完成されるんですか」
「そうじゃな。そういう訳で、全体上々の席。天気から入りは物足りないが、価値ある勉強会じゃった」
「はい」
「次回は6月21日の土曜日。これまでより早い6時から開演。夏丸ろべえの二人が2席ずつ演じる」
「時間を間違えないように」
「では、また」

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