3月19日 立川流若手の会

「さて、落語会へ参りました」
「何やかやお忙しいことで」
「電車の遅れが出て大変じゃった」
「大家さんは前も大風で電車が止まったんですね。いつも大変ですね」
「岡山時代には嵐を呼ぶ男ってあだ名があったからなあ」
「ないない」
「まあ、それで落語会は、立川流の若手の会
「はい」
「まずは志の吉君。出し物は『松竹梅』。マクラで地元、調布市の話が大いに受けていい雰囲気。本筋に入ってからは3人の描写が実に個性的。梅さんがわずかな『長者になられた』という程度の台詞を覚えられないというのに違和感を感じていたが、これを解決したのは初めて聞いたな」
「さすが立川流ってところですか」
「そうじゃな。続いて談修の『ちりとてちん』。こちらも本人の住む西東京市の話題から入って、雰囲気を維持した。食べる仕草は受けていたが、何かもう一つアクセントがほしいな」
「そうですか」
「ううん……だいだい、この落語、落ちが詰まらない。だからそこまでの経緯を聞かせる訳じゃ。そこで何かないと……」
「難しいんですね」
「その経緯がよく出来ていて面白いから、つい忘れてしまうことじゃな。ちなみに、NHKの説明は間違っておって、この落語は東京落語の『酢豆腐』を上方に移植したものじゃ。それで落ちを変えて、さっき言った通り、品もなく詰まらない落ちになっちゃってしまっちゃった」
「ひどい言い方」
「それを、前の小さんが逆輸入して今の形にした。まあ、そういうことじゃ」
「よく分かりませんが……その後は」
「お仲入りの後、再び談修で『長屋の花見』。大家さんと幹事を引き受けた月番2人の描写は素晴らしいな。性格がよく現れていた」
「そういうことで、トリは志の吉君ですか」
「地元だから譲ってもらったそうじゃ。出し物は『藪入り』。父親がちょっと乱暴者過ぎるのと、母親が現代の母だなという印象。この2点はこれでいいのかどうか……しかしそれ以外は実に素晴らしいもので、親子の情愛がよく出ていた。客席もちょっとしたくすぐりによく笑ってくれるが、しんみりとした場面では感動していたぞ」
「いい会だったんですね」
「まあ、その後志の吉君に挨拶に行ったが、2005年12月に逢ったきりだったのにちゃんと覚えていてくれた」
「義理堅いんですねえ」
「津山での落語イベントにビデオを送ってもらったお礼とか、先月の賞のお祝いとか……色々話があって、ついでだから色紙にサインをさせて……」
「図々しさ満開」
「そういう訳で、本日はこれまで」

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