12月17日 ろべえ夏丸仙花勉強会

「そんなこんなで……」
「どんな……」
「恒例のろべえ夏丸仙花の勉強会へ」
「また人の話を聞いてないね」
「着くには着いたが完全遅刻。仙花ちゃんの三味線を2曲ほどしか聴けなかった」
「それは残念」
「一昨年12月22日の勉強会で聞いて以来じゃな……ちゃんと曲になっていた」
「ひどい言い方」
「まあ、とにかく成長が見えたことは確か」
「はい」
「続いてはろべえ君。何が出るかお楽しみだったが、まずは『子ほめ』。この噺は前座がよく演っているが、真打が演るとやっぱり違うんだなと感じられる部分が多い」
ろべえ君は」
「さすが前座とは大きな差がある。だが、もっと面白くなるんじゃないかなと感じる。真打との差もまだあるのじゃろう」
「二ツ目という地位からいうと、それで矛盾はありませんね」
「しかし、この噺は、演者によると細かな点で色々おかしな点が出て来る。ろべえ君のには、それがないし、よく考えられていると思うぞ」
「はい……さっき、『まずは』と言ってましたね」
「そう。引き続き『唖の釣り』。与太郎が迎えに来る所から演じて、台詞で経緯を説明、与太郎のおかしさ、それに声が出なくなった七兵衛の仕草、かなりの出来だったと言えるな」
「そして、トリは夏丸君」
「そう。『勘定板』を演じるってんで楽しみと不安が入り交じっていたが……」
「どんな噺です」
「本店の落語ページでどうぞ」
「あらら」
「トイレについてのマクラ……小せんがこんなの演っていたって……寿輔も演ってるなあ」
「いかがでした」
「学校のトイレと自宅のトイレと……まあ、そんな噺で、品を落とさずに語っていたのが良かったな」
「それで、本筋の方は」
「田舎者の描写がいいな。『馬の田楽』からだんだん身に付いていることが分かる」
「それで……このネタは下ネタですよね」
「そうじゃな。円生談志などを聞いたが、どれもモノは出さない。しかし、未だに寄席で本物を出し、匂いまで描写する……ああ、情けない」
「昔はそうだったんでしょう」
「そうかも知れない……しかし、伝統の物でも悪い物は捨ててしまうのも仕方がない。古いままのものも聞いてみたいという噺は確かにあるが」
「原典を残るのは意義があるでしょう」
「しかし、『火焔太鼓』など志ん生が作った物が演じられているじゃろう。だれが原作など演るものか……いい物はいい、悪い物は悪いのじゃ」
「……それで、夏丸君は」
「品良く演っていたぞ。もちろん実物は出ないが……」
「が……何かあったのですか」
「落ちが、海に流すようになっていて、それを生かした落ちのはずじゃが、そういう説明が全くなく展開……どうなるんだろうと思っていると……」
「どうなりました」
「あっと驚く新作の落ちが……」
「どんな落ちです」
「お尻を下ろそうとすると、ちくっと来て……見ると……♪お尻かじり虫〜」
「あらら」
「しかし、軽い調子のマクラから、田舎者と番頭のやりとりと進めて、雰囲気が出来ていたので、悪くはなかったなあ。寄席で演ったら違う評価かも知れないが」
「勉強会ですから、色々やるってことですね」
「そう、分かってきたな」
「それで、打ち上げ」
「いや、ろべえ君が●●のくせに風邪をひいて……」
「あれ……先月は仙花ちゃんが……」
「そう……来月は夏丸君の番じゃな……とにかく体には気をつけてほしい」
「はい、今年はこれで締め括り」
「いや、夏丸君とは、もう一度会うかも……」
「それは……」
「お楽しみに」

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