11月22日 ろべえ夏丸仙花勉強会

「さて、いよいよ年末が近づいてきたなあ」
「はい」
「来年は良い年でありますように」
「そうですね」
「それでは皆様、よいお年を」
「終わりかよ」
「文句があるか」
「ありますよ。これじゃあ何も話題がないでしょう」
「年末だという話題が……」
「タイトルはどうするんです」
「あ、そこに気付いたか……」
ろべえ夏丸仙花の勉強会に行って参りました……ってんでしょ」
「わしの台詞を取るな!」
「それで、いかがでした」
「まずは仙花ちゃん……風邪をひいたんだと……のくせに……」
「何か言いました」
「いや、別に……それで、おなじみ傘の曲芸など」
「いかがでした」
「風邪のせいじゃろうな。ちょっとバランスが狂っておった」
「それで、次は」
夏丸君の『酉の市』、ううん誰に習ったとか聞いたのじゃが……圓師匠だったかな……」
「忘れてしまった」
「わしの台詞を取るな!」
「はい、で、出来はいかがでした」
「もう少し人物の描き訳がほしいな。若旦那と中心人物と与太郎と……あまり変化がないようにも感じる。全体としては面白いのじゃがな」
「そうですか……写真は……」
「もちろん、この一席を記念した酉の市の写真」
「それで、トリはろべえ君ですか」
「『二番煎じ』だった。寒い寒いという噺に汗だくの熱演……それはさておき、人物描写に疑問が残ったな。設定は旦那衆が夜回りをしているという感じなのじゃが、その中で職人言葉が出て来たり……それならそれで、人物紹介を入れるべきじゃろうな」
「厳しい異見ですね」
「一方役人は良かった。ただ、少し八人芸になっているような……」
「八人芸って」
「一人で色々な声を出して演じるやり方じゃ」
「分かりやすくていいじゃありませんか」
「まあその場は受けるが、やはり本物ではないな。喬太郎の新作のような世界では悪くないと感じることも多いが……」
「言葉を濁していますね」
「ううん……古典では、そこまでしなくてもちゃんと受け、ああいい芸だなと思わせる人が多い。結局、際物になってしまうような気がする。ろべえ君にも夏丸君にも、本物の芸になってほしい」
「大家さんが真面目に言っても説得力が……」
「まあ、そういう訳で……」
「苦情ばかりでしたが」
「いや、これは勉強会じゃから、ここから勉強してほしいという苦情じゃ。わしも適宜笑ったし、決して悪い席ではなかったぞ」
「はい、それではそういうことで」
「来月は17日の月曜日。夏丸君は一年の締め括りにふさわしい『勘定板』……え、ふさわしいのかな……」
「自分で言ってたんでしょ」
「ぜひ上品な演出に願いたいな……メルマガで間もなく紹介することになっているが……」
「さて、どうなりますやら」

inserted by FC2 system