9月24日 大上方落語展

「さて、この日の第一の目的は、渋谷で行われている大上方落語展
「大家さんは東京落語の応援団で……」
「もちろん。しかし、色々な切磋琢磨があってこそ、芸術は更に拡大し、大きな美しい花を開く。そのためには、こうした上方のイベントにも協力しなければならない」
「言うことは大袈裟だね」
「写真は、お手伝い中の……」
「どうでもいい」
「知っている人は知っているじゃろうし、知らない人は知らないじゃろうが……」
「分かる人には分かりますね」
「昨年9月に天満天神繁盛亭がオープン、わしはしっかりと見物に出掛けた」
「そうでした」
「そこで、さすがは上方と思ったのは、グッズじゃな」
「グッズですか」
「寄席の手拭いやキーホルダー、絵はがきから何から、とにかくそろえてある」
「東京にはありませんか」
「いや、新宿には噺家さんの本がずらり。パスケース、『寄席の華』というお菓子などはぜひ手に入れたい」
「へえ」
「池袋は落語家きてぃちゃんが限定グッズじゃ」
「へえ」
「上野鈴本でも笑点のグッズなど。広小路亭では芸協関係グッズがそろっている」
「へえ」
「浅草も噺家さんの本など扱っているが、焼酎『夢丸』を扱っているのはここだけじゃ」
「へえ」
「国立では、毎年カレンダーを入手している」
「へえ」
「お前、へえばっかりだな」
「ほお……」
しかし、大阪はさすが商人の街というか……グッズがすごい。まあ、概ね今回の展覧会でも入手出来る」
「文字通り、さすがということで……」
「あ、左上の青いのは、桂三枝師匠の手拭い」
「右下はお酒ですか」
「繁盛亭のお酒があるが、今回は来ていないな……天満天神繁盛亭から、まっすぐ天神商店街へ出て、左折。ここの酒屋に繁盛亭の日本酒や焼酎がある」
「お酒に関してだけは情報通なのね」
「はい、右は初代桂春團治をイメージしたお酒。3代目が飲んでいる写真が展示されている」
「はい。報告は以上ですか」
「いや、同時に、来月から始まるNHKのテレビ小説『ちりとてちん』のコーナーがある。見て来たがさすがにNHKじゃな」
「どう、さすがなんです」
「噺家を目指す女の子の物語じゃが……上方のあやめ師匠などもう25年のベテラン、東京の方でも右團治師匠、菊千代師匠など20年もやっている。今更女の子で噺家を目指すのが目指すのが目新しいと思っている点がいかにもNHKじゃな」
「はい……歌番組や演芸番組を見ていると、10年から20年遅れていますからね」
「わしの子供の頃と本質的な作り方は変わっていないから……それがNHK的という一つ」
「もう一つは」
「題名の説明が間違っておる」
「どういう風に」
「この題名の落語が東京に移植されて『酢豆腐』と呼ばれているそうじゃ」
「……上方から移植された作品て、沢山あるんでしょ」
「それはそうじゃ。しかし、これは全く逆。柳家小はんが『酢豆腐』を改作して『ちりとてちん』とし、大阪に移入したのじゃ。完全な東京落語なのじゃ。古くは『酢豆腐』と全く同じ筋で演じられていたが、柳家小さん(5)が改訂したものがあり、今は東京でも『酢豆腐』と全く違うものとして演じられている」
「……ややっこしいね」
「まあ、NHKじゃから、あまり期待は出来ないが……関東へ戻ったので、録画しておいてみようか……まだ迷っている」
「そこまで悩みますか」
「とにかく、正蔵が司会になってから、センスも質も捨ててしまった『笑いが一番』の例もあるから……とにかくNHKですから……」
「はい、センスのないテレビ局の話題はこれまで」
「あれ……今日は話題が違うような……」

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