8月22日 根岸の旅

「さて、この日は東京での会議を抜け出して、近所を散策」
「サボってるな」
「会議場から出ると、昔の吉原……今は怪しいお店が多いので、見る価値はない。昔のお店でもあればなあ……」
「ないない」
「とにかく、今は大門の見返り柳、それもせこいの……川の辺りに昔を忍ばせる物が一つ二つで……まあ落語の研究にはいいが、一般の人を連れて行く場所ではないので、今日はパス」
「説明が長いね」
「最初の場所は吉原からすぐの、樋口一葉記念館
「はい、写真右でございます」
「実家のあった通りは、吉原まで直通の裏木戸があり、商売で付き合いのある人が出入り出来た」
「へえ」
「一般の人は大門から出入りするが、こちらに別の出入り口がある訳で……『たけくらべ』の冒頭、『廻れば大門の見返り柳』で『廻れば』というのが現実味のある表現ということになる」
「へえ」
「左は記念館入口。この前の公園に、碑が二つ、滑り台に人力車の絵が掛かれ、ベンチが人力車の形になっている。なかなかおしゃれじゃよ」
「いいですね」
「この目の前でも『一葉せんべい』などを売っているが、吉原方面に一町ほど行くと少し大きいお店があり、せんべい、あられ、手ぬぐいなども……」
「色々ありますね」
「記念館は昨年再建されたものじゃ。5千円札のモデルになったことから、人気になって、きれいにリニュアールされたぞ」
「いいですね」
「今は吉原のお店、三浦屋の模型が展示されている。見事な作品じゃ」
「はい」
「一葉といえば、朗読の田中泰子さんが、表参道の楽器店『プラザ・ラ・タント』で、『十三夜』の朗読会を開かれる」
「皆様もぜひ」
「9月8日、土曜日の夜6時から、お店は地下鉄表参道からすぐ。渋谷の次の駅じゃぞ」
「お問い合わせはメールで……本店から」
「さて、下の写真は生家跡。この後根岸の方へ出るが、そのご報告は次のページで」

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