浅草演芸ホール 12月27日夜席

「さて昼席に引き続き27日の浅草演芸ホールの夜席でございます」
「こうして夜席に入るので、夏丸君に挨拶に行った。せっかく岡山から来たのだから落語を聞かせろと暴れ回ったら、仕方がないってんで……」
「それ本当……」
「まあ、そういう訳で前座は桂夏丸君の『青い鳥』。円右師匠の作品じゃが、昼席で書いたように、時間が遅れ、まだ客席は移動中……半ばから落ち着いて来たが、やりにくかったじゃろう。まあこれも修行じゃ」
「出来はどうでした」
桜田淳子なんて過去の人かと思うが、落ち着いたお客さんも付いてきていたし、良かったんじゃないか。聞かせる力量がないと、古臭いネタとしか感じないかもしれない」
「さて、三遊亭遊馬
「『転失気』じゃ。小僧の罪のないいたずらなのじゃ。和尚も決して悪い人ではない。遊馬のは和尚の声が偉そうにしている雰囲気がある。下手をすると八人芸になりそうじゃが」
宮田陽昇漫才
「日本の都道府県、アメリカの州を、その位置を示しながら並べる芸がすっかり定番になっていたが、中国も加わっておる」
「はい。三遊亭遊史郎
三遊亭圓馬の代演。要するに、昼席の蝠丸師匠がいないので、圓馬師匠が昼席に移り、夜席の空いたところに、遊史郎師匠が入ったという……」
「面倒な説明はいいです」
「『真田小僧』、いつもながら小僧の描写はいいな。老け込んで来ると、父親の風格も出るぞ」
「老けるのに期待ですか。三遊亭笑遊
「予定外だったので、その場で遊史郎師匠に土産を渡したら、『私にはくれない』ってんでいじけてから……この雰囲気がすごく良くなったな。『片棒』だが、実はこの人を見直したのがこの『片棒』、それも途中で切るのと、トリで最後まで演じるのを立て続けに聞き、すごいなと感じた。今日も同じネタだが、すごい盛り上がり、客席を完全に自分の世界に引き込んだ」
マグナム小林
松乃家扇鶴の代演。要するに、昼席の美由紀ちゃんがいないので、扇鶴が昼席に移り、夜席の空いたところに、この人が入ったという……」
「さっき、同じような説明がありませんでした」
「まあいい。この人はヴァイオリン漫談。ヴァイオリンでいろいろな音を真似たり、しゃべらせたり……」
「12月17日に同じような説明がありましたね」
「まあ、そちらを参照のこと。モーツァルトの最後に『ブラボー』を入れてやった」
「次は桂圓枝
「『シルバーシート』、おなじみのネタじゃが、わしはどうも……」
三笑亭茶楽
「『持参金』。圓枝から寝てしまって、ゴメン」
松旭斎小天華
「これもお馴染みのマジックじゃが……実は前日の津山の会社の忘年会のゲストの……」
「『の』がずいぶん続くね」
「今パソコンからも注意された。プロのマジシャンが来ていたが、プロにしては手際が悪かったなあ。まあ地方でやっている人を、こうしたメジャーな人と比べるのが失礼なのじゃろう」
三遊亭遊三
「『禁酒番屋』。侍が酔っていく様子が見事に描写されている」
「ここでお仲入り
「食いつきは桂平治師匠。江戸家まねき猫師匠が休演だというので、鶯を披露」
「鳴き真似ですか」
「歯の隙間に風を通して鶯の声にするという迷人芸じゃ。しかし、声がでかくて、最後までその調子で行くし、途中途中の話がしゃれているし、いいなあ……たとえば、『私の落語は、聞いているだけでタメになる。他の落語はダメになる。侍が小便を飲むなんてのと違って気品がある。もう帰ったから大丈夫』なんて……台詞の通り知的な場面も……」
都家歌六
「昼席のぴろきと入れ替わり。言うまでもないのこぎり音楽じゃ。いつもの『あこがれのハワイ航路』から『酒は涙かため息か』、そしてモーツァルト『恋とはどんなものかしら』。もちろん『ブラボー』『アンコール』を叫んで来た」
「はいはい。春雨や雷蔵
「『松竹梅』を落ちまで……しかし、この噺は難しいなあ。あまり繰り返すと梅さんが完全な馬鹿になってしまう。そうではないのだが、『長者になられた』だけの台詞を言えないのだから……この答えが何となく見えた」
「はい、新山真理漫談
江戸家まねき猫の代演。漫才から独立して、楽屋の介護の話など……時間が押しているので短かったぞ」
「続いて三遊亭小遊三
「『ん回し』、新しい台詞がどんどん飛び出す。最近すごいな。勢いを感じる」
「続いて鏡味正二郎曲芸
「傘の上で色々回す芸人さん……この芸協でぱっと3人が思い浮かぶが、それぞれ回す物に個性があるなあ。この人は茶碗を回す。とにかく時間が押しているので、あれ、もう終わりという感じじゃ」
「トリは三遊亭圓丸
「『尻餅』じゃ。品を落とさず演っている。一年の締めくくりにふさわしい噺じゃ」
「そうかなあ」
「その後ご祝儀で、芸人さんが舞台から蜜柑をまいてお開き。10時には自宅に着くという計算だったが、風の影響がまだ残っていて、着いたのは11時近く……やれやれという1日じゃった」
「これにて、寄席は打ち止めですね」
「昼夜は別の席という計算で、これで今年はちょうど20回参加することが出来ました。ありがたくお礼申し上げます」

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