2月18日 西大寺会陽

 17日、祖父の手記を読んでおりますと、「裸祭り」を見物に行ったという記事を発見したのでございます。当時は節分の夜やっていたということでございますが、ネットで調べると何と今は2月の第3土曜日、つまりこの翌日に行われているのでございます。これは行かなければならぬという使命感を感じたのでございます。
 最初の写真(右)は駅前のオブジェ。まず祭の資料館を尋ねましたが、お休みでした。

 左の写真は門前の商店街。裸の群集が押し合うため、店を守るために柵が設けられているのです。
 祖父の手記には次のようにございます。
西大寺の町に入ってみると、どの家にも皆表に丸太を積んで囲いがしてあり、神木をつかんだ人の謁がなだれ込む時の防壁の準備とのことであった。お寺に入ってみると、本堂の堺に四本柱が建ててあり、既に裸の人が周囲に充満して押し合っている。」

 本文にあった四本柱が右の写真でございます。左側の大きなものが本堂になります。尋ねてみると、この四本柱は昔からのもので、祖父の見たものと同じものだそうで、胸にじんと来ましたなあ。
 昔は川で身を清めていたそうですが、今は間に道路が出来、川までは行かず、中に作られた清め所(写真右奥の建物)が作られています。下は吉井川の写真でございます。


祖父の描いた四本柱

 さて、この祭りは裸の男達が御神木を奪い合うものでして、祖父の時には午前2時に投入され、決着がつくともう明け方だったというのでございます。
 今は12時に投入。グループでの奪い合いで、わずか20分で終了しました。
 参加者は10時頃からワッショイワッショイと声を上げながら参詣を繰り返し、手を挙げて投入を促します。今年の参加者は9千人。見物人は3万人を数えるそうでございます。写真で奥に人がおりますが、既に体から上がる湯気で見えません。

やがて高根提灯が本堂の中まで詰め掛けた褌の中に立ち上がったと思うと、声は段々気勢よく高まって来る。すると急に灯りという灯りが全部一時に消えたかと思うと、今までオイショオイショと聞こえた声が急に変わってシーッと深みのある声に変わってしまい、真っ暗で何も判らないが、近くの裸だけの様子で見ると、諸方で裸の渦巻きが起こっている様子である。人の語によると本堂の奥から投ぜらるる神木には、数日前から麝香の香りがたき込められており、闇の中でもこの香だけでその所在が判ることとなっているとのことである。」(祖父の手記より)


祖父の描いた会陽(裸祭り)

 真っ暗な中での祭の様子がよく伝わる名文ですなあ。今はやたらにフラッシュがたかれ、その都度人々のうごめきが見えます。
 右の写真は終わった直後の様子。臨時列車が岡山までは何本も出ていますが、自宅まで帰るには2時間も前に出発していなければ乗れないというので……帰るのを諦め、ブラジルの人々と一晩中サンバを踊った訳でございます。

 

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