12月26日 お江戸日本橋亭

「前座は瀧川鯉斗の『饅頭怖い』、いい間違いがずいぶんあったが、言い直して続ける。若いのだから、このくらいの気持ちが必要じゃな。饅頭が出る前で切っていた」
「2人前座だったんだって」
「もう一人は三笑亭可女次じゃ。『子ほめ』だったが、よく受けていた。うまいな。二つ目になった連中よりもうまいぞ」
「これからプログラムに載っている人だね。まず瀧川鯉之助
「『茶の湯』をたっぷり。しかし、こんなにもひどい茶を毎日朝昼夕晩と4回も飲み続けるのは納得いかんな。『ちりとてちん』のように、吐き気を催しながら飲むような物を飲み続けるのはどうも……それに後ろの席のおばさん2人が、ずっとしゃべりっ放し。とうとうにらみつけたらやっと静かになった」
「続いて三笑亭月夢
「『禁酒番屋』。ちゃんと小便を飲んだな。ひどい物を飲むつながりじゃ。番の侍が酔っていくが、ちょっと大袈裟すぎるかな。でも面白かったぞ」
「仲入り前に桂南なん
「この人は本当に面白いなあ。『噺家の遊び』じゃが、わしも聞いたことのない作品じゃ。遊郭で呼び込みの若い衆のテンションの高さから、店の中のひどさ、さらに女のすごさ……さすがじゃ。もちろん今日は若手(二つ目)の勉強会じゃから、この人が一番いいのは当たり前じゃな」
「仲入り後は春風亭昇輔
「来年真打昇進ということで張り切っている。『宮戸川』じゃったが、お花の可愛さをよく演じていた。婆さんを起こすときに鼻提灯を入れていたが、トリが『天狗裁き』じゃから、このくすぐりはカットすべきじゃろう。しかし、それぞれの人物を描き、その取り合わせによって雰囲気も変わり、客をひきつけていた」
「続いてローカル岡」
「楽しみにしていたのじゃが、大演で鏡味健二郎太神楽じゃった。もちろん手際も良かったが、天井が低いので大変そうじゃった」
「そしてトリの笑福亭里光
「おどおどした雰囲気が抜けてすっかり落ち着いた。『天狗裁き』じゃった。大家との喧嘩まではテンポ良く進み、奉行から『女房が聞きたがり、隣家の男が聞きたがり……』を繰り返し、落ちはピシッと決めて、なかなかのものじゃった」
「じゃあ、まあ良かった席だったね」
「そうじゃな。今年最後の仕事という人も多いから、力も入っていた。満足できる席じゃったな。日本橋亭は明日が最終日じゃが、昇美依右團治という女性落語家2人の競演。2人の漫才(?)もあるぞ。小柳枝師匠がビシッと締めてくれるから、いい会になる。わしも行きたいが、用事があって行けないのが残念じゃ」

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