12月24日 コルキン演奏会&繭から(志の吉)

「夕べは疲れきっての帰宅だったようだね」
「耶蘇前夜祭(くりすますいぶ)ということで、どこへ行っても込んでいて嫌になった」
「どこへ行ったんだい」
「まずは銀座でレオニド・コルキンのコンサート」
「ああ、あの有名な……ね……誰です」
「トランペット奏者じゃ。クリスマス・コンサートというので『アヴェ・マリア』など、クラシックの中から似合うものを選んで演奏した。最後はアーバンの『ベニスの謝肉祭』で、アンコールは笹崎榮一の編曲による『きよしこの夜変奏曲』……だと思う」
「まあ、俺ァ仏教徒だから関係ねえね」
「もちろんその後CDをいただきサインをさせて……写真参照……」
「図々しいね」
「一緒に写真を撮ろうと思ったら、100円ショップで買ったばかりの乾電池を入れておいたのに、もう電池切れじゃ」
「詐欺だね」
「今回の買い物はどうもたたられておるな。万年毛筆の毛先が駄目になったので、上野の某有名百貨店に行ったら、まともな応対もしない。眼鏡を忘れたので、取ってくれと言うのに、『そちら(カウンター外)にあるから自分で取れ』と言うし、取って確認してくれと言うと、『それでいいからレジへ持って行け』という応対。レジで確認してくれというと、『はい、幾らです』と言う……帰ってから見たら、違う商品で合わないじゃないか。わしはもう高○屋は信用しない」
「愚痴っぽくなって来たな」
「テレビもあきれたぞ。昨日の朝見ていると、瞬間視聴率ランキングってんで、この瞬間最高視聴率を出したと言っていた。しかし、本当に最高視聴率だったら、その前が面白いからチャンネルを変えずにいて、その瞬間が面白くないからチャンネルを変えたんだろう。つまり、一番面白くなかった場面ということじゃ。ふざけるな」
「おい、大家、落ち着け」
「冗談じゃない。責任者出て来い」
「お待ち下され。殿中でござる……殿中でェござるゥ……」
「留めてくれるな妙信殿……痩せても枯れても平手は武士じゃ、行かねばならぬ、行かねば、ならぬのじゃ……」
「くさい芝居はこのくらいで……」
「そうじゃな。疲れてしまった」
「読んでる方が疲れていると思うよ」
「さて、銀座から下北沢へ出て、立川志の吉君と神田京子さんの会に参加。岡山からの土産を渡して帰ったら、もう11時半」
志の吉ってェ奴はどうだったい」
「口が悪いな。なかなか良かったぞ。最初にクリスマスをテーマにした新作を演ったが、こなれていないのか、ちょっとハラハラした。後で本人もそう言っていたが。後の新作は上々じゃ。雰囲気がガラリと変わって、枕から大いに盛り上げて安心して見ていられる高座だった。出し物は『初天神』じゃった。飴と団子で終わりにしていたが、もっと聞きたかったな」
「さて、これで4日連続の落語会。今日は5日目」
「いや、今日は父の49日法要をやって、そのまま納骨するから、落語会はお休みじゃ。明日また行くかも知れないが」
「帰ってから、毎日毎日遊び歩いているね」
「家族は『何をしに帰って来たの』って言っているが、これが商売だから仕方がない」
「商売じゃねえだろう」
「まあ、そういう訳で、それぞれの落語会について公開しているので、暇な時に見ておくれ」

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