5月3日 Aura演奏会 そして
新宿末広亭 遊史郎真打昇進披露興行

 さて、連休を利用して帰省するが、何しろ忙しい。今日は岡山へ帰るので、昼から出発。まずは女性アカペラグループ「Aura(アウラ)」の演奏会。クラシックのおなじみの曲に歌詞もついて、もちろん無伴奏で歌う。音域の使い方のうまさは編曲に拍手すべきか。会場はマイクからスピーカーで音を響かせすぎ。普通の教会などで聞いたらどんなに美しいことか……想像をめぐらせるばかりでした。もちろんCDを買ってやり、サインをさせて、新宿へ。
 新宿末広亭で、遊史郎歌蔵の真打披露興行が行われました(1日から10日まで)。
 3日の席に行って参りました。もちろん手土産持参で……両真打の師匠がテレビでおなじみということもあり、「笑点」でも真打披露をやったこともあり、昼席から超満員。1枚の切符で夜まで入れるのです。夜だけ行っても2階席しか空いていないという混み具合(写真)。
 前座はべん強の「親子馬鹿」、兄弟で1年が何ヶ月かを討論するお噺。超満員ということか、いつもにも増して緊張している様子。
 続いて遊喜の「初天神」。時間がないのでずいぶん端折って、団子屋の蜜に親がつけるのを落ちにする。
 ローカル岡漫談。いつもの通りだが、客席が反応にぶい。それを次第に自分のペースに持っていくのはさすがだ。
 春馬の「相撲と落語」、両者を比べるというお話だけ。
 歌若の「同棲(仮題)」。もてない男が絶世の美女に一目惚れ、スタイル抜群の外国人で、今は同棲していると言うが……歌若らしさもよく出した新作。
 Wモアモア漫才。テンポよく客席をつかむ。
 円丸の「長屋の花見」。じっくりと演じているのだが、大入りのためか、雰囲気が落ち着かない。
 歌春の「たらちね」、男のガラの悪さは誇張しすぎか。女の言葉との対照をねらっていることは分かるのだが。
 米丸の「お風呂風景」。30年も前の録音が我が家にある。師匠、無事退院して良かったね。
 今丸紙切り。2階からではリクエストできず。それに時間もなかった様子。いつもの「舞子」の後リクエストで「宝船」、その後「芸者」と似顔絵をさっと切って終わり。
 遊三の「替り目」。マイペースで演じている。なかなかよし。
 仲入り前は歌丸が「」を演じ始めた。最初の鶴が飛んでくる場面で、1階のおばさんが携帯で話し始めた。ちょっと待ったが電話をやめようとしないので、さん、そのまま引っ込んじゃった。そばにいたらそのおばさんに「金返せ」と言ってやるところだが、本当に無神経。
 仲入りには鹿の子ちゃんが新真打の手ぬぐいと湯飲みを売っている。買ってやらねばならぬ。ついでに披露宴の写真も渡した。あ、夏丸君も手伝いにいましたよ。
 仲入り後は披露口上から。手締めの時に、歌丸が「皆様のご多幸と、さっきの携帯の婆ァのご不幸をお祈りして」と言ったから、会場では大拍手。
 新真打・歌蔵の「新聞記事」。
 東京ボーイズ歌謡漫談。彼らのいいところを少しずつつなげたオムニバスのような構成。もっと聞きたいと思う部分もあったが、面白かった。
 米助の「野球談義」。長島、掛布という千葉県を代表する馬鹿の話。
 小遊三の「夏泥」。正直に言えば、今日の中で一番良かったのはこれか。最初からおどおどしている泥棒が、見事に作品にはまっていた。泥棒を演じさせたら一流かも……
 さて、トリは遊史郎の「七段目」。見事なものですよ、本人によく合った噺です。鳴り物入りで演じるのはトリならでは。芝居の声がすごい。しかし、問題は素の声が高いので、旦那も若旦那も、番頭も声が高い。親子喧嘩から二階へ上がる場面展開のあたりで、ちょっとアクセントがほしい。しかし、芝居の場面で声色を使うこともあるし、旦那を無理に渋い声にしたりではもう落語ではない。これは遊史郎師匠に自然の風格が出るのを待つしかないのであろう。今は間の取り方で聴かせるしかない。場面転換でアクセントを加えるには、間の取り方を身につけることなのである。それが不足しているからダレ場になってしまう。
 先に出ていた歌蔵も同じ。枕から自己紹介もかねて聴かせるし、大きな動きやアドリブは効いているのだが、人物を描き切れていない。まだまだこれから勉強しなければならぬ所である。もちろんこれから伸びていく二人、大いに期待しましょう。
 さて、そのまま新宿駅へ出て、夜行バスで岡山へ帰った訳でございます。

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