5月1日 上野鈴本 早朝寄席

 お休みになりましたので、一席申し上げます。
 4月30日、夜行バスで津山を出発、予定より5分遅れの10時30分発とあいなりまた。バスでは眠れないという人も多いのですが、喘息と仕事のトラブルで不眠症になっていたので、少しくらい眠れなくても平気になっている私。乗務員乗り換えの2度、ちゃんと覚えていますが、それでもまあ眠れました。足を通路に伸ばすことで対応も出来るんですよ。
 ところがアクシデントというものは、どこにでも転がっているものでございます。
 朝7時15分に新宿駅到着というはずが、6時過ぎに到着してしましました。こちらの計算では新宿発が7時半、8時頃に上野で朝食、ぶらぶらと鈴本へ向かって早朝寄席に参加するという日程だったんですがね……どっかで時間が遅れると懲罰があるってんで飛ばして百人以上も殺したってニュースが流れていますが、早過ぎるのも大変なんすから……三平口調になってしまった。
 ちんたらして上野まで行きましたが、まだ7時前。コンビニ弁当を買って不忍池のほとりをぶらぶら(写真上)。食事を終えてもまだ8時前。弁天様にお参り(写真左)をして、西郷さんの写真も撮って……
 不忍池まで戻ると、5月の骨董市ということで準備中。お手伝いをして時間つぶし。ようやく9時になったので上野鈴本へ向かいました。
 今日から正蔵の襲名披露興行。ああ、それで三平口調が出たのね……もう並んでいる。こういうお付き合いはご勘弁願いたい。二つ目の勉強会である「早朝寄席」に入ります。いつもより30分早い開演ということで、助かりました。まあいつもの時間であれば、上野に着いた時点でギブアップしていたかも知れませんがね……
 最初(はな)は彦丸の「天災」。時間の関係もあるのだろうが、紅羅坊先生を訪ねる場面から入るのはなかなかいい演出。その会話で、前の部分を理解させようとする演出。先生だけが敬語を使って話すのだが、口調は同じでちょっと敬語を忘れると他の人物と同じになってしまう。まだ自分の物に成りきっていないという印象。
 続いて金兵衛の「蟇の油」。まともな口上が終わって、そこで枕のような話を挿入するのは珍しい。二つの口上を続けるのが本来の演出であろうが、これはこれで面白い。しかし、酔ってからの描写は不足。面白いギャグがいくつもあるのに、随分カットしていた。時間が無くなったのか、ちょっと物足りなかった。
 栄助の「疝気の虫」。虫の描写がおかしい。いかにもマンガ的な噺を、マンガでございますという雰囲気で演じるのだから悪い訳はない。別荘を探して退出する演出。めくりを忘れて戻ったのはご愛敬。
 トリは笑生の「墓見」。前半の主人公の偏屈さが、もっと欲しい。花見ではなく墓見に行って、幽霊を女房にすることになる。後半は隣の男が真似をして幽霊ではなく狐を妻にする。演じられることが少ないのは、面白くないから。前半後半の人物の違いもあまり感じられず、全体にもまとまりに欠ける。なるほど演じる人がいない噺だが、いかに引きつけるかが大切なのだ。
 前半の二人に対して、後半の二人は観客を引きつける話しぶりも出来も上だった。ただ、いずれも人物の描き分けがあまり必要でない噺。「墓見」でも、前と後の二人の人物が難しいところ。二人で話す場面はほんの少しなので、そこでの会話が印象づけられる。ここで完成された後の人物を描くのが大変だ。
 表へ出ると正蔵襲名披露はすでに満員。30人以上が立ち見だというので並んでいる。まだ開演まで2時間。そうか、9時から並んでいる人は、3時間半も待つのだ……大変ですねえ。
 さて、久し振りの東京、パズルショップ「TORITO」と、秋葉原の「コスモ」へ挨拶をして茨城の実家へ帰宅。さて、東京へ来ると忙しく立ち回らなければならぬ宿命。どこまで体が持ちますやら……いずれ続きを申し上げます。

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