3月13日・東京巡り、銀河交響楽団&菊之丞独演会

「いや、今日は忙しかったのう」
「例によって、休みはフルに活動しますからね」
「まず、午前2時から、例によって眠れない」
「喘息ですね。走ると治りますよ」
「……ぜんそく力、って洒落か」
「当たった」
「まあ、それで朝出勤してお仕事」
「最後のお勤め(今月いっぱいで退職するんですわ)」
「10時で早退して、まずはパズルショップ『トリト』へ」
「この間手ぶらで行った所ですね」
「だから今回はお土産持参じゃ」
「それで、パズルをゲットしたんですか」
「東京駅で新しい職場のボスと会う約束があったので、5分しかなかった」
「買わなかった」
「いや、買った」
「何だい」
「すぐに東京駅へ。約束の12時ぴったりに到着。契約を決めてお昼を食べて1時過ぎに表へ出ると雪だった」
「東京駅の雪を写真に撮ったでしょう」
「残念ながら雪が細かくて縮小すると見えないので今回はカットじゃ」
「そうですか」
「ホワイトデーに贈るハンカチを買いに、表参道へ行った」
「地下鉄乗り継ぎですね」
「音楽グッズのお店『プラザ・ラ・タント』じゃ。ちょうど居合わせたジャズ・クラリネット奏者が、同じ田舎の出身者ということで意気投合」
「ホワイトデー用のグッズ以外にも、何か買ったんでしょう」
「バッハ作曲のコーヒー・カンタータの譜面をデザインしたコーヒ・カップを入手した」
「いい洒落ですね」
「さて、2時過ぎにお店を出て銀座へ出て、銀河交響楽団の新曲発表会に参加」
「それが右上の写真ですね」
「終わって上野へ着くと4時じゃ」
「上野では何かあったんですか」
「この間から宣伝しておる、古今亭菊之丞師匠の勉強会じゃ」
「でもあれは5時半からの予定でしょう」
「そうじゃ。1時間半もあるし、疲れたので、挨拶だけして今日は帰ることにした」
「その方がいいでしょう」
「ところが、黒門亭へ行ってみるともう10人も並んでいる」
「へえ」
「5日の土曜日に行ったリリカ寄席の関係者も来ておった。『LIRICA』をデザインしたパズルを喜んでくれた」
「良かったですね」
「まあ、そういう訳で、挨拶をして帰るつもりが、一緒に並んでしまった」
「やれやれ」
「4時半に開けてくれたが、15分で満員になった」
「やっぱり実力がありますからねえ。それで、いかがでした」
「もう9時になるから、明日内容を報告することにしよう。飯も食わなければならんからな」
「ご馳走様です」
「お前に食べさせるとは言っておらんぞ」
「そんなことは言わないで……おかずは何です」
「今日はカツじゃな」
「試合の前にはぴったりですね」
「テキにカツじゃろう」
「でも、お味噌汁が駄目ですね」
「なぜじゃ」
「ほら、アサリ……アッサリ負けますよ」

「ま、そういう訳で」
「どういう訳です」
「上の続きじゃ」
「どこまで行きましたっけ」
「確か、犬猿雉子をお供に連れて、竜宮城へ放射能除去装置(コスモクリーナー)を取りに行くところじゃったな」
「……ううん……ちょっと違うような気がする……」
「まあ、みんな忘れておるからいいじゃろう」
「それで菊之丞師匠の落語会はいかがでした」
「わしの親戚が靴屋をやっておってな」
「何です」
「なかなか客に喜ばれる物が出来なかったが、だんだん上手になって、今ではみんなに喜ばれておる」
「へえ」
「そこまで行くには大変な苦労もあった」
「そうでしょうね」
「客が喜ぶようになるまで、どのくらいの靴を作ったと思う?」
「百足くらいですか」
「嫌、まだまだじゃよ」
「じゃあ、千足」
「まだまだ」
「一万足」
「近付いたな」
「十万足」
「その半分じゃ。五万足(ご満足)といってな」
「詰まらない洒落を言うために十行以上も使わないで下さい」
「菊之丞師匠の話じゃが……」
「ああ、その話をしていたんだ」
「まさにご満足の行く高座だったな」
「ネタ出しで、初めて高座に掛けるものだったんですよね」
「そうじゃ。最初は『家見舞い』」
「ああ、落語のページに粗筋も出ていますね」
「決して下品にならずに演っている。道具屋の伯父さんとの交渉、二人のやりとり、兄貴分との会話、どれもまずまずじゃ」
「大家さんのまずまずはあんまり褒めていない時に使う言葉ですよ」
「そうじゃな。良かったのは後半の食べる仕草の連続じゃな。豆腐、温かい飯、実際に見て楽しむという世界が良かったな」
「もう一席は」
「『二番煎じ』じゃ。さすが菊之丞という世界が展開した。『火の用心』という台詞がみんな違う。謡いになったり小唄になったり、お得意の喉を生かした演出じゃ」
「へえ」
「それから酒の飲み方、肉の食い方、それぞれの人物を描く。なかなか難しい噺じゃな」
「良かったですか」
「良かった。しかし、磨かれて更に光るようになるという部分が随所にあった」
「じゃあ、未完成」
「未完成でこれだけ面白いのじゃから、もっと良くなるぞ」
「期待しましょう。前回は前の日に雪、今日は昼間に雪でした」
「雪之丞に改名するかも知れないな」
「それは無いでしょう」
「まあ、東京で聞く落語はこれが最後になるかも知れない」
「はい、ご愁傷様」
「最後が菊之丞という幸せを感じて旅立とう」
「あの世へ」
「岡山じゃ!」
「でも大家さん、しぶといから、きっと帰って来ますね」
「まあ、次の機会をお楽しみに」

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