殿さまキングス

　30年以上前でしょうか、寄席のコミックバンドといえばドリフ、殿キンという時代がありました。ドリフは前に出たので省略。
一方の殿キン、殿さまキングスです。コブシをコロンコロン回すギャグもあったし、音楽センスは良かった。それが当時のブームでお笑いが歌う真面目な歌を出したら大ヒット、本物の歌手になっちゃった。
　その後、お笑い番組に出た殿キンをみてがっかり。同じギャグなのに、ちっとも面白くない。まさに、歌手がコントを見せているのです。もうダメだなという世界でした。ここだけの話、私の一番好きな噺家は三遊亭円生（６代目）なのですが、御前落語（昭和天皇の前で演じた）の後、何だか面白くなくなっちゃった。お客様に笑っていただくのではなく、客に聞かせてやるような雰囲気が出たのですよ。まあ、その後反省したようですが……
　ええと、殿キンの歌で面白そうなものを……ああ、これがいいでしょう。83年の「パロッタ・クラシック」というアルバム。チャイコフスキー作曲「黄昏海峡」（原作は「白鳥の湖」）、ビゼーの「恋は気まぐれ」（原作は「カルメン」）、などなど……
　その中で「係長５時を過ぎれば」はモーツァルトの「トルコ行進曲」。
　　♪　早く行こう　早く行こう
　　　　一杯やろうぜ　早く行こう
　会社が終わって飲みに行く歌詞が見事に乗るのです。
　クラシックの替え歌も色々ありますが、その走りなのでしょうか……