シューマンの赤とんぼ

 シューマンが笑いとして作ったのではありませんが、「序奏とアレグロ」ニ短調(作品134)を紹介します。
 これは彼が奥さんクララと結婚する時に彼女に贈った曲なのです。
 アレグロの主題がフルートで出てきますが、どこかで聞いたようなメロディ……「菜の花畑に入り日薄れ」から「夕焼け小焼の赤とんぼ」にリンクする(「菜の花」の「は」が「夕焼け」の「や」と同じ音になると考えると一番確かです)……というメロディなのです。
 三島由紀夫が海外で耳にしたのがこの曲と思われ、山田耕筰が盗作なのかと書かれて抗議文を送っています。ドイツ国内でも戦後までほとんど演奏される機会がなかったので、山田耕筰が聞いたとは思われず、本当に他人のそら似だったのでしょうか。
 吉行淳之介が夕刊フジに書いた「赤とんぼ騒動」は、大学入試問題にもなりました。
 笑うことを狙った作品ではありませんが、日本人なら聞いてほほえむこと請け合いの作品です。

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