サン=サーンス/動物の謝肉祭
サン=サーンスのあの壮大な「交響曲第3番(オルガンつき)」を作曲した同じ年に作られたのが、この「動物の謝肉祭」。全部は知らないが「白鳥」は知っているという人もいるでしょうね。交響曲とは対照的に、気軽な気持ちで作られたことがよく分かる作品です。
第1曲「序奏と堂々たるライオンの行進」半音階の上下がライオンの咆哮を表現しています。
第2曲「雄鳥と雌鳥」クラリネットがにわとりの鳴き声を描写します。
第3曲「騾馬(らば)」走り回るピアノ、下手なピアニストを皮肉ったという説も。幅の広い音階を、単調に弾いてくれると、終わった瞬間笑えます。
第4曲「亀」昔は運動会の定番だったオッフェンバックの「天国と地獄」のカンカンをタイトルの通り、ゆーっくり演奏。
第5曲「象」ベルリオーズ「ファウストの劫罰」の美しい「妖精の踊り」を重々しいコントラバスで演奏。中間部にはメンデルスゾーン「真夏の夜の夢」のスケルツォも出てきます。
第6曲「カンガルー」重く跳んでいく様子が描かれています。
第7曲「水族館」フルート・ソロでも演奏する美しい曲。
第8曲「耳の長い紳士」驢馬(ロバ)のこと。ヴァイオリン2部がやりとりします。タイトルから人間を皮肉っているのかも。
第9曲「森の奥のかっこう」クラリネットの鳴き声が印象的。
第10曲「大きな鳥かご」フルートの早い動きが印象的。
第11曲「ピアニスト」いかにも素人のような音階練習。下手なピアニストは動物園へ送り込んだ方がいいようで。
第12曲「化石」ようするにもう昔のものですわ。メロディはサン=サーンス自身の「死の舞踏」からガイコツの踊り。「月の光に」「フレール・ジャック」「きらきら星」というフランス人なら知らぬ人はいないという曲が飛び出し、やがてクラリネットがロッシーニ「セビリアの理髪師」のアリアを歌う。これらみんな化石なのだ。
第13曲「白鳥」生きている間に出版を許したのはこれだけですって。私はフルートをはじめて、最初に吹けた作品ということで愛着を持っています(2曲目はアルルの女のメヌエット)。
第14曲「終曲」オッフェンバック「天国と地獄」のフィナーレに乗って、登場した動物たちがパレードします。