世界一人気の作曲家:パガニーニ

 さて、世界一人気のある作曲家、曲とは何でしょう……
 作曲家たちに人気のある作曲家であるなら、文句なしにパガニーニではないでしょうか。
 パガニーニの作品やイメージををもとにした作品を並べてみましょう……
ヨハン・シュトラウス1世/パガニーニ風のワルツ(作品11)
 メインワルツは「ラ・カンパネラ」、他の協奏曲等も登場する。
ショパン/変奏曲「パガニーニの思い出」
 主題はフルートでお馴染みの「ベニスの謝肉祭」。パガニーニは左手のピチカートに乗せて主題を弓で弾くなどの超絶技巧で演奏した。「ベニスの謝肉祭」という題も彼が付けたという。
シューマン/パガニーニの奇想曲による練習曲(作品3)
      パガニーニの奇想曲による演奏会用練習曲(作品10)
      謝肉祭(作品9)30曲目が「パガニーニ」
 作品3と10は奇想曲の2・3・4・5・6・9・10・11・12・13・16・19。全曲をピアノに編曲しようという計画を持っていたらしい。
レハール/歌劇「パガニーニ」
 どの事件を歌劇化したのか不明。導入にいかにもというヴァイオリン・ソロがあり、2・3の歌だけがレコードで出た。
シマノフスキ/奇想曲
 「奇想曲」にピアノ伴奏を付けたもの。ヴァイオリンはほとんどそのままだが、ピアノは不協和音を使った現代的なもの。
リスト/パガニーニの主題による華麗な大幻想曲
 リストが「ラ・カンパネラ」を編曲した最初の作品。書かれた音符の通りに演奏すると、片手で2オクターブを同時に弾く。おなじみの主題の2オクターブ上に装飾音があるのだ。左手は同じ旋律を半小節遅れて演奏する。こんなのが続いて、後半は「ベニスの謝肉祭」になる。全部で500小節の大作。一通り終わると、左右の手がお互いを次々に越えて弾く、全音域を使った半音階、真ん中で両手でトリルを弾きながら上下で主題を弾く、両手で10度の和音の連続……という好き勝手な超絶技巧を次々に扱う、150小節にもわたるフィナーレがついている。
リスト/パガニーニの主題による超絶技巧練習曲
 よく演奏されている「大練習曲」と同じ。ただし、「大練習曲」は誰でも弾けるように易しく改訂したもの。3曲目の「ラ・カンパネラ」は「大」の方が絶対に面白い。協奏曲第1番を元にしたフィナーレが付いている。第4曲の「アルペッジョ」は気が狂うほどの難曲。アルペッジョを両手別々に、しかも和音で弾く。ホ短調になると三重の和音でアルペッジョを弾き、低音部には全く違う旋律が流れる。全音域を使って暴れ回る。ここまでピアノを「叩きまくる」曲はないという。フィナーレは両手で10度の和音の連続。
 そして6番は有名な「主題と変奏」。曲そのものは「大」と同じで原曲通りの変奏なのだが、第1変奏は全て3重和音、第2主題は両手同時に旋律、両方に細かい装飾音がつく。第4変奏は左手は3連符で右手とリズムが違う。第6変奏は左手が10度の和音進行。第8変奏がすぞい。右手は幅の広い分散和音、左手はとてつもない跳躍の連続。後半は左右の手が役割を入れ替える。第9変奏は分散和音を3オクターブに分けてやりとりする。無茶苦茶な難しさで、演奏されることはない。
 さて、パガニーニといえば、この最後の「主題と変奏」。これは世界一多くの作曲家が新しいアレンジを書いている作品でしょう。次のチャンスで紹介します。

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