ムソルグスキー「展覧会の絵」その2

 展覧会の絵の謎を一つ……ピアノを管弦楽に編曲する時、対旋律をつけたりすることはあります。ピアノではどうやっても音は10個までですからね。もっともバルトークは片手で14音を弾いていますが……それはまたそのうち……
 さて、そういう追加をのぞいて、ラヴェルが編曲した「展覧会の絵」が原曲と最も違うのは、「荷車(牛車)」でしょうね。ラヴェルの編曲では遠くからだんだん近づいてくるように音が大きくなり、最後はまた遠ざかって行くようになっています。
 ところが、原曲のピアノでは頭がフォルテシモ、だんだん弱って行って、消え入るように終わるのです。
 実はこれに該当する絵がないというのが昔からの謎で、NHKが取材をして「肉体労働者」を描いた作品がこれではないかという結論に達しました。つまり荷車のようにこき使われて死んで行くという悲劇を描いたのです。それなら、強弱も分かるし、この後のプロムナードが悲しく響くのにも納得が行きます。
 え、ちっとも笑いじゃない……はい、済みません。

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