ムソルグスキー「展覧会の絵」その1

 ムソルグスキーの「展覧会の絵」……これは冗談音楽ではありません。友人の画家が亡くなり、その遺作の展覧会に展示された実際の絵を元にして曲を作ったのです。絵をそのまま曲にして、その間に「プロムナード」というメロディがが流れるのです。その「プロムナード」が絵の雰囲気に左右されて変化するのも面白さの一つ。
 ピアノ曲ですが20人以上が管弦楽に編曲してます。私の学生時代のメモでは21人、日本人が2人いました。プロムナードの最初は1例をのぞいて全てヴァイオリンで演奏します。唯一の例外がラヴェルなのです。ラヴェルの編曲は誰でも知っている作品になっていますね。冒頭をトランペットで演奏するのも意外!
 学生時代、チャイコフスキーの編曲を聞きました。CDがあれば買うんですがねえ……弦楽器から始まって、木管、金管、弦、また木管、金管……とやりとりするのです。これがいかにもロシアの哀愁で、なるほどと納得した記憶があります。
 それに対してラヴェルの作品は世界が違うのですよ。いかにもフランスのセンスある「近代的な」作品であり、ある意味では「改悪」では?
 曲そのものは好きで、フルート・ソロで演奏したいと、学生時代もやっていました。しかし、最初のプロムナードが和音の豊かさで聞かせる曲なので、いきなり挫折。どうしようってんで常に問題意識を持っていたのです。さて、この度編曲を完成させました。30年も悩んだ結果に納得行く演奏法が出たのです。私の答えは、頭をフォルテ・アクセント付きで演奏、和音が厚くなる部分をピアノ・スラーで演奏するというものです。
 音楽を文字で表現することの難しさ、そしてむなしさ。来月初演しますのでお客様の反応を確認したいと思っています。
 さて、「展覧会の絵」には謎も多いので、「笑いの音楽」ではないのですが、その謎を解くという意味でその2へ続く。

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