小林旭

 女の子が悪い奴らに襲われる。ドアを開けて逃げようとしても間に合わない。ところが、そのドアが勝手に開いて……入って来たのはギターを抱いた渡り鳥。一瞬あっけにとられる悪人達……渡り鳥、すなわち小林旭が、例の甲高い声で歌い出す。
  ♪ ヤーレンソーラン ソーラン ソーラン ソーラン
    ソーラン はいはい……
 ワッと笑ったら、周りの大人に怒られた。悪い奴に囲まれた緊迫したシーンで笑うとは何事だ……というのである。純粋な私は、やっぱり笑わずにはいられない。笑うと周りの顰蹙を買う……とうとう映画館に行けなくなった私です。
 そう言うわけで、一人で笑うために小林旭のCD持っています。
 「恋の山手線」、駅の名前を順に織り込んで恋を歌うのです。柳亭痴楽の名文句と半分は同じ。でも飛んでる駅があるのは今とは駅の数が違っているのかも。すると、痴楽よりも前なのかしら。
 「自動車ショー歌」、これも同じようなネタ、車の名前を並べた洒落。
 変なのが「宇宙旅行の渡り鳥」。「ちっちゃな地球に 住み飽きて」宇宙へ飛び出すのですが、歌の調子は正に「渡り鳥」以外何者でもないのです。歌の最後の「渡り鳥」に妙に力が入っているのが笑えます。
 この文章を書いた直後(2004年秋)、芸能生活50年とか、おめでとうございます。 

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